少女式/今唯ケンタロウ
つめたい砂の内側をのぞいている。
……髪の毛が歯車に巻きつく。それでも、歯車は廻る。まただれかが、「成長」と言った。そしてもう一度同じ言葉を、少し大きな声で言った。……
だけど、少年は本当は知らない。少女のからだのまん中にぽっかりと穴の開いていることを。
……歯車は廻りつづけ、その向こうの方から、みたび「成長」という声が聞こえてくる。……
だけど、少女は本当は知らない。自分はすでに少年と遊離し始めていることを。
……歯車は廻りつづけ、「成長」「成長」「成長」「成長」……
暗やみのなかで、きらきらと輝いている。だけど、そこへは行けない。何かが、舞っているようにも見える。
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