スタンダード/大村 浩一
 
たあるまいと洗面器の様に
シンプルな昔のスタンダードが
かるがると風をまいて駆け登っていった

プレス工が打ち抜いた鉄板を
かんたんに組み立てただけの車
けれど何だって積める
君と友達とお酒と
鍋釜と毛布とビニールシート

ティファニーでもグッチでも金のシャチホコでもなく
ベンツでもプラズマテレビでも六本木ヒルズでもなく
欲しかったのはスタンダード
欲しかったのは君と
あの晴れ渡った地球岬
欲しかったのは二人で旅立つ意思
それに必要なのは
荷物を減らす事と
良い靴を選ぶ事


君の幸せに、
間に合って良かった。



2005/04/23 室蘭での披露宴で朗読
大村浩一
  グループ"■ 現代詩フォーラム詩集 2005 ■"
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