残り香に犬は吼える/
プル式
彼女がいた
いく度も抱きしめた
東京を去った僕は今ここにいる
送られたままの荷物をひも解くと
数ヶ月前の君がいた
僕は深く
深呼吸をする
そうして昔そこに在った
君の体と、口づけ
甘いシャドウに記憶は踊り
儚いメロウに僕は酔う
首筋に手をやると
ざらり
剃り残しが触れた
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