「その海から」(31〜40)/たもつ
ごの中を転がって行く
少年たちはまだ知らない
本当は自分自身が
言葉であることを
37
風呂桶に
フルーツが
ふたつ
うかぶ
そのことは
今日の僕らの幸せであり
どこか、という
不特定の場所では大層な
不幸せだった
38
雨のようなところで
手回しオルガンを奏でている
しちがつ、
を思うと
祭りはいつも
かさぶたと間違われてしまう
良かった、人は
虹と少し似ていなくて
39
係長さんが
トンネル工事から
帰ってきた
今日も
長いものと
短いものとが
溢れて
ありふれていたよ
と、係長さん
そしてまた
さんずい
のような格好をして
ケヤキの近く
買い物をするに
違いなかった
40
どこまでも伸びる
手、そして
それに附随するもの
あやふやなものばかりを
僕らは大事にしてしまう
あなたの発した、ん、で
しりとりが今
終了した
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