虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
ーだの、いわゆる未知の生物と呼ばれるものに詳しい。
「知っているよ」と、彼は言った。「それはフルフルの卵だ」
「え?」
「とんでもない生き物さ、というより怪獣と呼ぶべきかもしれない」
「おい。そんなもん、新聞や週刊誌に載っていないじゃないか。なんでお前だけがそんな凄いことを知っているんだ」
「つまり、報道規制ってやつさ。たぶん、周辺住民は例の『呼出し』をくらっている可能性がある」
「――呼出しだって?」
「保健所でワクチンと称して『記憶忘却剤』を注射し、その後『特殊なことば』による五分程度の洗脳が行なわれる」
「ということは、わたしの妻もか?」
「心配はいらない
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