虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
るが、自由である前にすでに犯罪者は犯罪者であり、たとえば漫画と劇画が区別されるように一見べつの顔をもちながらも、じつは同質の巧妙に選択種を絞ったABC分析の順位付けがすべての結果の判断基準となる。そうして、ここでは真実と引換えに、ごくありふれた虚構の暮らしが無限大に軒をつらねているんだ。ほら、どの家も皆、似ているだろ。‥‥さあ、クルマから降りてくれ。もう二度と君はこの世界から戻ることはあるまい!」
「だとしたら‥‥」
わたしは眉間にしわを寄せてYの顔を見た。「やっぱり、ここは、『ここ』じゃないか。アハハハ」
「ふふ。君からしてみれば、もちろんその通りだがね。たぶん死ぬまで『ここ』はここ
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