虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
 
ための荘厳な音楽がどこからともなく流れた。
 曲目は、ヘンデル作曲の「メサイア」よりコーラス。――ハレルヤ! 
 
 「うーん」
 わたしは腕を組んでしまった。
 「どうした。そろそろ戻ろうか、ここはとてもつまらない場所だ」
 「しかしお前。まだ何か隠してないか?」
 Yは、言った、
 「君は世界の恐るべき真実を、これ以上さらに知りたいのか?」
 「隠すな、ぜんぶ教えろ」
 「わ、わかった、わかったよ。実はまだこの下には亜空間の階層がある。この階層こそが、すべての研究の集大成ともいえるオーウェルさえ想いえがくことのできなかった完璧な『ディストピア』‥‥いや、理想世界だ」
 「
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