君の街まで桜色のバスに乗って/はじめ
 
 桜色のバスに乗って染井吉野のトンネルを抜けて君の街へ行く
 トンネルを通る時花びらが風に乗ってガラスに付く
 運転手はいつもワイパーをかけてそれを退ける
 君には桜の花びらがよく似合う お土産に持って行きたいぐらいだ
 でも持って行こうとしない あの花びらじゃないと駄目なんだ
 やがてトンネルを抜けると全く異なった景色が飛び込んでくる
 緑色の街だ 街路樹が青々と茂っていて燦燦と太陽が照っている
 色とりどりの煉瓦の道路が印象的だ
 やがてバスは最終停車場に止まった
 音に敏感になった僕は自動ドアの開くプシューという音で
 全身の筋肉が硬直し胃がめくり上がり神経が震え幻聴
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