駅・本川町/たりぽん(大理 奔)
電停をおりて橋を渡る
引き潮の時間に
この川を見るのが恐い
川底の石たちが
洗い流されるのを
見るのが恐い
少し濁った
なま暖かいような
満ち潮で
どんよりと凪いでいる
昼下がりに
宮島行きのボートが
駆け足にすすむのを
ながめるのが好きだ
透明な淡水が
川の本性をむき出しにする
洗い流されているのは
焼け焦げた骨のような石たち
恐ろしくもほんとうで
遠い未来を見通すことの透明さより
澱んだ安心に埋もれようとする
引き潮の時間に
私の皮膚は流される
川底の石たちが突きつける
なぜ恐ろしいのか
どうしておそろしいのかと
梅雨入り前の涼しい風が
肌寒いから
私は震えているのだ
ふるえているのだ
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