駅:大和西大寺/たりぽん(大理 奔)
もっとも遠く、旅した者が
偉大な旅人なのだとすれば
それは
鉄路の地下に
埋もれた大路を
使者に運ばれて通った
ペルシア細工かも知れない
この駅を出て
各駅停車は東へ向かう
壮麗な死者の宮跡に
飛び交う渡り鳥を
黄朽葉に染める
いにしえの落陽
神話を孕む南の都
いまも息づく北の都
そして旅人は今、西の都から
全ての時代が入り交じり
永遠はないという憂鬱を
水鳥は切り裂きながら
夕刻
垂仁天皇陵へ舞い飛ぶ
その行方を朱雀門の向こう
青垣に馳せながら
各駅停車は
壮大な旅の真上で
短い旅路を繰り返す
愚かな旅人達をのせて
ガタゴトと
終着駅へ
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