駅:難波/たりぽん(大理 奔)
 
中央改札を出たら
階段の手前にいくつかの柱がみえる
その陰にぼんやりと
いつも誰かが待っている


少女だったり、サラリーマンだったり
学生服だったり、主婦だったり
日替わりで、何かを待っている


何を待っているのかを
だれも訊ねたりはしない


改札は
海辺の風のように
朝夕でその風向きを変える


あの時は凪だったのだろうか
不安と期待のような
メトロノームのウエイトを下げて
僕もここで待ったことがある


今では思い出せない
何かをずっと
待ち続けた事があるのだ




   グループ"駅"
   Point(8)