駅:難波/たりぽん(大理 奔)
中央改札を出たら
階段の手前にいくつかの柱がみえる
その陰にぼんやりと
いつも誰かが待っている
少女だったり、サラリーマンだったり
学生服だったり、主婦だったり
日替わりで、何かを待っている
何を待っているのかを
だれも訊ねたりはしない
改札は
海辺の風のように
朝夕でその風向きを変える
あの時は凪だったのだろうか
不安と期待のような
メトロノームのウエイトを下げて
僕もここで待ったことがある
今では思い出せない
何かをずっと
待ち続けた事があるのだ
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