臨時最終列車にて/たりぽん(大理 奔)
誰もが一度は
忘れてしまいたい夢を見る
上昇気流が
鳶を雲の上へ連れ去り
生まれた真空が吸い込む
一匹の羽虫
星だっていつかは消える
恐れることはない
東京行き 東京行き
誰も乗せない 回送列車
白いコンクリートは
永遠の極氷山のよう
遠くで揺れている
駅長さんの懐中電灯はカンデラ型
ぼくはあそこでおりなくては
ぼくはあそこでおりなくては
連結器が がしゃんと鳴って
隣の車両がこちらとずれて
目的地でもない終着駅で
忘れてしまいたい夢を見る
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