駅・小淵沢/たりぽん(大理 奔)
高原行きの汽車(ディーゼル)を待つ間
プラットホームの先っぽで
二人は駅弁を食べるんだ
二段になった折り詰めの
おしゃれな駅弁を
うれしそうに開けるんだ
中央アルプスの山嶺に
冬の名残の鏡雪が
まぶしく春を告げるんだ
明日とか、明後日とか
ずっと先の話をしながら
もう、思い出話をしている
二人は、
やってきた2両編成に乗り込んで
ガタゴトと
虚構の別荘地へむかうんだ
駅弁じゃ満たせない空腹を
夢で満たせるかも知れないと
窓を開けて
髪と
ぼんやりとした未来を
高原の風に揺らすんだ
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