◆美しいよる/千波 一也
 
葉の向こうに聞き耳たてて


蜘蛛の巣のしずかな真昼を彷彿と熱の理由と手触りを狩る



錆びついた鉄の味覚に棲みついて海とうおとに不浄が群れる


不器用に変幻自在な鍵穴をひかり満たして水音がゆく


鮮やかな水の気配に誘われておだやかに凪ぐ疑問符の波



すくわれて尚すくわれるこころなら
裏も表もまっさらに、よる


恥じらいを重ねてよるは美しくひとの誤解にすらり、寄り添う






   グループ"【定型のあそび】"
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