◆てんとうむし/千波 一也
 



天を問う声に季節はすみついて羽はだいだい地を駆けめぐる





おのが目に降り積むものを焼き払え隔たり持たぬ点灯のため


くらやみにうごめくものを虫と呼ぶひかり求めて心、おのおの


一瞬の憂い、あこがれ、とめどなく試し試され点灯のむし





ささやかな転倒ひとつも気にかけて雲にざわめくたおやかな羽


起きあがるいわれを眠る土のうえ今日も上手につまずいて、そら





もの言わぬお天道さまにもの申す、くすぶる匂いの恥ずかし恋し





ひとさまに買われるような質もなくわが身になじむ品定めかな


店頭に春夏秋冬欠けずともわれは至らぬ具足でありたし





天を問う声こそ終(つい)の住処(すみか)なれ我が身にあまる片隅の隅





七つ星、叶わぬ末となろうとも背に負いつづけむしの定めに











   グループ"【定型のあそび】"
   Point(3)