◆てんぷら日和/千波 一也
さくさくと枯れ草を踏むかたわらに寝ぼけまなこの緑やわらか
晴天をながれる雲の端っこをそっと匂わせたんぽぽ揺れる
ぷらぷらと散歩日和のさかなたち
言葉は気泡、刃のない気泡
火傷するおそれの向こうにあるものを食するほかない水です、誰も
夏ゆえに迷子は上手にかくれんぼ
あわれみさながら祭りが過ぎる
ぬくもりはどこにあるかと問う夢をやさしくくるむ小さな寝床
持つべきは衣という名の恥じらいです
しみ出るべきがしみ出るように
待つべきは味わいの奥、もっと奥
月日のすべてをうたがうのなら
不可思議の純度が高いそのうちにやさしい作法でさあ召し上がれ
前 次 グループ"【定型のあそび】"
編 削 Point(4)