速達/銀猫
届けられたのは
便箋にして二枚の
こころの欠片でありました
丁寧な挨拶の他には
少しの友情のような気配
けれど
こころ火照らせるには充分な
あなたの筆圧が
指先に凸凹と伝わります
遠い町の風と匂いを思わせる
封筒の微かな埃の跡
滲んだ速達の赤
これといって
愛など語りません
そうといって
温かな体温は伝わり
わたしは隠れて
何度も読み返し
読み返しては
けして形にすることの無い心情を
飲み込んでおりました
何にせよ
親愛なるあなたからの
初めての文です
親愛なるあなたの
わたしだけに向けられた
大切なことばです
返信には
きっと白い白い封筒を
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