降り来る言葉 LXIII/木立 悟
幽霊の扉から冬の樹へ
白も黒も青も茂り
水を縦に持ち上げている
どこまでも 鉱の鼓動の径
まばたきの窓
白い顔
壁を径を照らす火は
足跡に足跡にわだかまる
弦に逆らう音ばかり
指は見つめ 荒れ野を抄う
冬の背のぼる
小さな蒼
星座と星座のあやとりをほどき
獣の足跡のつづく先へ
つづきつづける無言と無言
やがて粉になるものすべて
人ではない人
街ではない街に棲み
こがねを吸い 吐きながら
音は生の手綱を引いてゆく
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