降り来る言葉 LXIV/木立 悟
 
れより広い黒の風
夜を南へ押しもどす


蒼く立ち上がり
崩れ また起き上がり
見えないものの影を連れ
まぶしく荒れた冬の径をゆく


終わりは淡く
やまないしずく
壁と扉には誰も触れない
撃たれた鳥が歌いだすから


曇の梯子を落ちるものの明滅
片手に片目に
ことばをことばを
握りしめながら


水なのか
水でないのか分からぬものに身をかがめ
鳥は小さな音と色を浴び
羽を吸い 羽を吐いている


荒れ地になろうとする径に
陽は刺さり 血は流れ
それでも荒れ地へゆく径に
青も毒もついてゆく


光のうろこの夜を歩き
霧にも鳥にもなりながら
うたは冬の足跡を追い
径に花を置いてゆく


























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