降り来る言葉 XXVI/木立 悟
触れて触れて 粗く
肌が肌に 痛く
どこまでも拙い指きりに
耳をすます
白湯(さゆ)の林
そよぎささめき
花を織る熱
冷えて 冷えて
波 海鳥
山の向こうの雨
鉄路 途切れ
かみなり
風に沿い
とどろく
同心円の
季節の層
吹きだまり ふちどり
閉め忘れた窓から外へ外へと
ほどけるように花になるもの
霧も声も区別なく
空に響く縦の色
満ちてはあふれ
まなざしを染め
吹き寄せ 計り 輪をなぞり
たばねてもたばねてもひろがるもの
つねに つねに
憶えられない光を描くもの
花を花に手わたしたあと
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