降り来る言葉 XXVI/木立 悟
 

花もたぬ指に生まれくるもの


季節はひとつ 諍い生きもの
境は病 
火を埋める指
肉に肌に目の水に
わずかに異なる色を重ねて


まつり縫いの音がずっと
爪の月から離れない
明けないうたを呑むものにとり
有は無よりはるかに近い
指を洞に 鳴りわたる
花を生むもの 鳴りわたる


目のなかの雨
目のなかの雪
ひとくち ひとくち
花は受けとり
かすかな誓いと約束の息
からめた指のまわりをめぐる


月より高い灯は割れて
まだやわらかな羽は現われ
窓を空へ空へとひろげ
たたずむものを言葉に染める
花と指とを行き来する
静かなはざまの火に染める














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