降り来る言葉 XXXI/木立 悟
語るものを見た
語りつづけるものたちが
嬉々として罠に落ちるのを見た
饒舌を讃えるものたちが
饒舌の檻に憩うのを見た
鈴を忘れぬ雷鳴の
ひと息ひと息を愛でる指
氷の残る水面に
差し入れられるひとつの指
暗闇は枝
つかまり 歩き
ときおり土の血を流し
次の暗闇へと歩き
肩の上から声がする
きんいろの きんいろの
荒地を覆う きんいろの
光を創る建物の窓に
私は私の姿を見たと
(青い炎を取り出すとき
青い炎を呼び起こすとき)
去った鳥の羽ばかり
線路と家をつないでいる
鏡 硝子 金の布
朝の霧から昼の霧へ
巨きく静かに碧は傾く
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