降り来る言葉 LVI/木立 悟
 
り気と羽
たなびきと後悔
雨の背に雨の背に遠去かる


倒木の先
海ぬすむ海
海をかかげ 落とす海
陸の無い地図
照らす指


午後と立像
燃え降る木
渇いた路をなぞる曇
見えない犬の
群れに立つ子


夜の終わりからはじまりまで
月の産毛に触れている
冬より古い
息を重ねる


髪と同じかたちと数の
髪のうしろにたなびく耳が
空の屑にまみれながら
球とは何かを呼吸している


星を生む木が水に倒れ
目を閉じ 冬を見つめている
あなたのゆらぎとくれないが
わたしのむらさきでありますように






















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