降り来る言葉 LIX/木立 悟
へのばす
じりじりと虚しい 真昼の緑を
緑が見るのか
真昼が見るのか
それとも誰も 見ていないのか
坂の上には
ころげ落ちそうなものがいて
花冠を戴き 微笑んでいる
すぐに飛び去りそうな羽を持ち
はらりはらり
微笑んでいる
水は流れ
かたちはもどり
同じ地をつらね
失くし つらね 失くし
月ばかり見て
聞こえないうたを聴いている
心やぶれた
うたうたいたちの亡きがら
白い檻には誰もいない
拙い色の重なる先に
音の道はのびてゆく
器を連れて駆けてゆく
昼の火に立つ
花と幽霊
うたや水の列
雨が照らすひとつのかたち
隠れきれない
岩陰の手に咲いてゆく
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