「私は何も言いたくない」/ななひと
方が心証は良くなるよ」と容疑者を追求する。実際裁判でも黙秘権を行使すると裁判官の心証は悪くなる。黙っている、ことも一つの言語行為なのである。
「何も言いたくない」と言ってしまうのは、一つの敗北である。本当に言うことが何もなければ、言わなければいいのだ。「何も言いたくない」と言ってしまったが故に、「何も言われなかった何か」がそこで初めて創出されてしまうのである。実際何もなくてもである。
しかし、「何も言いたくない」と言わなければならない時がある。先ほど言及したが、自己が追求されている場合である。その時、ある主張があれば言えばよかろう。いや、主張があるからこそ「何も言いたくない」という言葉が生まれ
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