食欲/暗闇れもん
彼女がやってくるというので僕は夜食の準備を始めた
シンプルな木の机に真っ白なテーブルクロス
ランプ
ナイフ
ホーク
今日は一口サイズのパイ包み焼き
料理が得意な僕の家に彼女はたびたびやってくる
キャリアウーマンの彼女にとって
ここは巣みたいなもんだって
ベッドの中で語ったこともある
こんな風に僕は仕事に疲れた彼女に
食事を用意し
お風呂を用意し
清潔なベッド
肌触りの良いシーツを用意する
でも指一本触れない
僕からは彼女に指一本触れない
ここは巣であり
僕の欲は果てしないが限りがある
伝える必要がない
手袋の下には小指がない
肉のやけた良いにおいがする
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