発泡の夏/千波 一也
 


ほの暗い照明が
小粋だった



会計を済ませて店の前

「これって酒気帯びだよな」

サドルにまたがる
胃は重くても
ニヤっと笑えば 
軽くなる


「しっかりこげよ」って
偉そうなおまえ

「らくしょうだね」って
偉そうなオレ


足とこころとをぎゅっと捕まえた 
幾度目かの夏



久しぶりに自転車をこいだ


爽快だった





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