短い読み物を2つほど・・・ 良かったら読んでください。/ベンジャミン
 
かわかりませんが、次郎にとってはそんなことよりも妹に会えることが嬉しかったのです。
春が来れば雪もとけて、妹がもっとはっきりと見えると思ったりもするのですが、お父さんやお母さんが
「春になったら花を摘んで会いに行こうね」
なんて、悲しい顔でいつも言うので、
次郎はなんとなく、このまま冬であればいいのにと願っていました。
今日も、がったんがったんが聞こえてくると、
次郎は仏壇のロウソクを吹き消して、嬉しそうに窓に近づきます。
はぁと息で曇らせてそれをぬぐいながら、妹の写真を映した窓に話しかけるのでした。
疑うこともなく、
がったんがったんと響いている記憶のような
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