短い読み物を2つほど・・・ 良かったら読んでください。/ベンジャミン
泣くこともなく、
妹が笑っているかぎり、話しかけるのでした。
カオリちゃんの憂鬱
カオリちゃんの憂鬱は鏡の中にありました。
鏡の中の自分の顔がどうしても自分の顔だと思えなかったのです。
笑顔もぎこちないし、すねたらみっともないし、ぜんぜん納得がいきません。
ある日
学校に向かっていたカオリちゃんは、なんとなく気分が良かったので、前を歩く小林君に笑顔で「おはよう」と言いました。
すると小林君も笑顔で「おはよう」とかえしてくれたのですが、その時
カオリちゃんは自分の顔を見たような気分になりました。
それはとっても不思議な感覚なのですが、確かに、小林君の笑顔に自分が見えたのでした。
そして、その日から
鏡の中の自分の憂鬱が消えてしまったのです。
不思議です。とても不思議。
次の日には、小林君のことが好きになってしまったのですから、それはもう不思議でしたが、なんとなく納得できてしまいました。
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