夏のはじまりはいつも/ベンジャミン
 
みずいろの風に吹かれて

すこしだけ早まった鼓動が
うなずくように合図をしたら
それが夏のはじまりでした

手のひらでつくった影に
割り込むように差し込んでくる
陽の眩しさを避けて木陰をわたれば
つかのまの涼しさに
空はいっそう青さを増してゆきます

七月は
淡い匂いに包まれた
色とりどりの景色をうつす花色で
まるでキャンバスにのせた
絵の具が梅雨でとかされたようです

夏ですから
すっかり薄着になった
隠していた肌に風がふれれば
何となく
新鮮な気持ちになってしまうのはもう
あたりまえかもしれません

くすぐるような視線を感じて
いやおうなしに見上げてしまった

空は

昨日まで泣いていたことを
忘れたように微笑んでいます
  
   グループ"テーマ詩「月の詩(ウタ)」"
   Point(9)