有限者と無限/なかがわひろか
残りの生の
カウントダウンが始まった朝に
目覚めるとそこには無限がいた
大きな黒い影が
部屋を重い色にしたけれど
今の私にはそんなことはどうでもよかった
ただ側に誰かいて欲しいときに
そこには
無限がいただけのこと
そこには無限が
存在しただけのこと
何かを問おうとしたけれど
残り時間が短くなった私は
どんな疑問も感じなくなっていた
全てを受け入れる
ただそこに
ただここにある物を
受け入れる
有限なる私の生と
永遠なる無限が
出会った
ただそれだけのこと
(「有限者と無限」)
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