コンシェルジュリーに棲む女/なかがわひろか
コンシェルジュリーに棲む女
人は醜女の心を持つと言う
不能の旦那の種で生まれた
愛しき結晶を抱いている
コンシェルジュリーに棲む女
愛した人が手を差し伸べる
掴めぬのか
掴まぬのか
彼女の心は誰も知らぬ
栄光と
装飾と
嫉妬にまみれた
悪を一人で背負わされた、女
滑り落ちる刃に映る
細く長く白く美しい、首
目を閉じる
悲鳴
歓喜
耳を塞ぐ
誹謗
嘲笑
コンシェルジュリーに棲む女
真実を知らぬ者の戯言に
人々は今日も
耳を傾ける
(「コンシェルジュリーに棲む女」)
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