世界/もも うさぎ
、
時間軸や、時空の動きをメモする欄があった。
あたしが仕事に戸惑っていると、
一人の男性が近くにやってきて、
「外をごらん」 と言った。
いつのまにか
まわりの影のような人たちは、すうっといなくなり、
(どんどん薄くなっていった、というのが正しいかもしれない)、
部屋にいるのはあたしと彼だけになっていた。
外を見渡すと、
それは 宝石の屑をちりばめたような夜景で、
斜めにそびえたつ時計台や
ちいさな火のいくつも揺れる灯篭を流したような川や
灯台や 飛行機を迎え撃つ煌くビル郡や
童話の挿絵のように
美しい細胞の果ての果てのように
[次のページ]
前 次 グループ"契約"
編 削 Point(13)