花火/もも うさぎ
 
長いこと 時間はたった


ずいぶんと 睫毛も 声も 痩せてしまったね、と笑う

それすらも

全部両手で抱えて持ってゆきたい 日常の風景のひとつだった



おぼつかない足取りで
浴衣を着て

後ろからその帯を結ぶわたしの指には

確実にあった時間という しわやしみがたくさんあって



いとおしい日々よ




その昔、書いた詩は

死、というものを真っ向から見据えようとして


それがどんなに哀しいものなのか
いかに虚無なものなのか

目を逸らさずに、美談にせずに

そうやって必死に見ていた


それは、若さゆえの、
[次のページ]
   グループ"契約"
   Point(22)