暁の魔王の花嫁/蒸発王
 
雨の日に嫁入りした

嫁ぐことの条件は
髪を切ることだった


『暁の魔王の花嫁』

髪は
『神』に繋がるから
あの人は其れを嫌った

逆に
嫁いでからは
髪を伸ばすように命じられた
口だけで反抗してみたが
所詮
喜ぶことは好きなので
言うとおりになってしまった


暁のような人

糖蜜のような黄金
ゆるやかに伸びる紫煙
結婚指輪は緋色のガーネット
そして
憂いを残す藍色を思わせる残り香

魔王は孤高に残虐に
愉快に笑うが
寂しそうだ

全ての始まりを詠うはずなのに
何故か
この夜
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