暁の魔王の花嫁/蒸発王
 
の夜の
この世の終わりを見つめている





そういう男を愛した




時が経って
魔王は書物の中のみに
封じられた

彼の存在を信じるものは
この朝焼けの下に居ない
存在は希薄になり
いつしか
彼は書物に消えた
特に離縁もされていないし
まだまだ蜜月のつもりだから
私は花嫁のままだ

ただ
彼が目の前に居ない

在るのは
眼下に広がる
彼を生き映したかのような
暁だけだ


ああ
貴方が昔切り落とせと言った
私の髪は
すっかり形を変えてしまった
黒から銀に
夜から朝
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