飴/ピッピ
 
たら、大きなあくびだった
春が淀んで、君の眉から目、唇の端までを真っ赤に染めていた
笑ったね
僕が
君が笑ったと
感じただけだけど、透明な飴玉になったので、それもどうでもよくなった

味のない飴玉を最後まで舐めていると、唾液みたいな液体がどんどん出てきて
それを飲み込んだ。雨は降っていないし、風もそんなにはないみたいだ
そういえば音楽が鳴っていたね
まるで死んだみたいに僕の中を通り過ぎていってた
そういえば君がいないね
まるで死んだみたいに僕の中を、
君の歌みたいだね
君の歌みたいだ

空気が透明で本当に良かったと思う。
ふらふらと音楽になって落ちてくる。

ざわざわしている

カプセルの中で眠りこけて、そのまま数年間が過ぎようとしている
何も変わらないのは皮膚の外側だけだった
夕刻がゆっくりと結んでいた掌を解いて、綺麗な血まみれの顔を必死に隠そうとしている
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