彼等/佐々宝砂
もいい。
でも泣いてもお母さんはやってこない。
本当はひとりで歩いてゆく道なの。
私もひとりで歩いていったの。
みんなのお母さんもいつかあの道をひとりでゆくの。
みんなは特別に許されて八人でゆくの。
私をいれたら九人ね。これだけいれば心強いね。
どうしてみんながここにいるのか私は知ってる。
みんな今は思い出せないとおもうけれど。
まだ思い出さなくていいの、今はまだ。
あちらに着いてからでいい。
あちらでおおきなひとに会ってからでいい。
でもあちらに着いたら、思い出さなくてはいけない。
それから決めるの、いいこと、自分で決めるの、
憎むか、許すか、なかったことにしてしまうか。
それはあとで考えればいいことなのだけど。
お話はこのくらいにして。
さあ、ゆきましょう。
あかるいほうへ。
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