記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
なイイ女を手放すんじゃねぇぞ。手放したらブっ飛ばす」
後から見たら、これほど馬鹿げた発言は無いだろう。
その火種を自ら作り、自ら煽って、大火事にしてしまったのだから。
俺はしばらくこんな事を言っていた。
舞子に愛を囁いた舌で、俺は嘉人に「手放すな」と言う。
何を考えていたのだろう。
俺の僅かな良心が、その友人の女に手を出す…と言う行為を否定したのだろうか?
違うだろう。
俺は嘉人を嘲笑っていたんだろう。
セックスの最中に、お前の女は俺の事を考えているんだぜ?って。
俺と舞子の仲が急発展したのは、俺達が高校を卒業してからだったと思う。
その頃の俺は、すっかり舞子を狂信して
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