記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
していて、誰の言う事も聞いてなかった。
舞子さえ良ければ、俺は世界なんてどうでもよかった。
どの国が滅びようと、どの惑星が破滅しようと、誰が死のうと、苦しもうと。
俺には誰の言葉も、忠告も届かなかった。俺は壊れていた。
舞子の為になら人だって殺せたと思う。実際に、嘉人の母親を殺そうとした事がある。
兎に角、俺は壊れていた。そして壊れたまま卒業した。
何からの卒業か、何からの解放か、俺にはわからない。
もはや学校など、どうと言う存在じゃない。灰色の箱でも何でも無い。
俺は、真っ暗い闇の中に射した光のみを信じた。
それ以外は何も信じてなかった。
俺の、6年間連れ添った友でさえも。
[次のページ]
前 次 グループ"記憶の断片小説・ロードムービー「卒業」"
編 削 Point(2)