荒川洋治を読んでみる(四) 『内蒙古自治区』/角田寿星
 
代だって中国の都市化は進んでたはずですから、この詩の世界は、近代化以前の時代の空想か、あるいは辺境の草原をイメージして書いたんだろうね。
一言でいうと、一見凡庸にも感じられる異国情緒が、この詩篇を貫いてるんだけど、モンゴルの男や娘たちの登場のさせ方が巧いやね。異国情緒を人の体温であたためてるんだ。そしてこの国の行方をやさしい眼差しで見つめてるんだけど…。あと、この詩はわりと文語的表現が少ないのも特徴だと思います。

用語解説。

「黄土」…この場合は「おうど」と読むのが正しいらしい。言わずと知れた、黄河が運んだり、黄砂(これは「こうさ」と読む。まぎらわし(以下略))が風で飛ばされたりして
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