荒川洋治を読んでみる(八) 『北京発包頭経由蘭州行き』/角田寿星
ええと、言うまでもないことですが、この鉄道は実在します。京蘭線という路線で、1958年に全線開通しています。蘭州まで直行するのは特急列車なんですが、作者の乗ってるのは急行ですね…急行もきっと直行するんでしょう…少なくとも当時は…ここは信じなければ話が始まらない。
北京から、内蒙古自治区内を通り、寧夏回族自治区の銀川を通り、甘粛省の省都、西域の玄関口、蘭州に到る路線です。言うなれば今までの、中国地方を題材にした一連の詩の、集大成にもなりそうな一篇です。
ぼくがこの路線で、最大に気にかけていたことがあって、それは「黄河を越えるのかどうか」ということでした。ほら、黄河は広いし、流れも速いし、
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