ペイター「ルネサンス」(2)/藤原 実
ばられるものではなくなる。過去現在のあらゆる印象が同一空間に置かれ、そのためひと
つひとつの持つちいさな響きは、やがて共鳴し、エコーする。
「かつて生ける男女の興味を呼び起したもの……彼らが語った言葉、声をひそめて
耳傾けた神託、人が現実に胸に抱いた夢想、心を燃やし時と情熱を注いだ事物は、
その活力をすべて失うことは決してない。」
(「ピコ・デルラ・ミランドラ」)
現在の中に
過去の記憶を入れて
現在の喜劇をつくる
過去を現在にする
「恐怖のよろこび
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