ヒューム「ベルグソンの芸術論」(5)/藤原 実
語は、実はノンセンス言語に(反面的に)支えられてはじめて成立しているのだ、と。潜在的ノンセンスこそセンスの必要条件である、と…」
「明治以来私たちの国をおおかた支配しつづけてきた、かぎりなく俗悪な健康をほこる模写説リアリズムの言語観に、ノンセンス言語を対置させてみる。そして、どちらが本当は狂気なのか、どちらが真に健全なのか、と考えてみよう。
その上でさらに、実は私たちのすべてが少しずつ両棲類なのだという事実に気づいてみよう。あるいは、こう言いかえてもいい。ノンセンスの言語は、センスの言語を反面的に支えているばかりではない。鏡の向こうからしみ出して、センスの言語の中に深く滲透してもいるのだ。」
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