残酷!怪人スミレ女(愛と哀しみのMr. チャボ)/角田寿星
ふたつ先の しずかな私鉄の駅でおりて
ふたりは歩いた チャボとスミレ
おだやかな秋の風がふいていた
さほど高くない丘を見上げるように
さほど広くない その公園はあって
まばらな紅葉が申しわけ程度に秋の日を染める
人出は意外に多く ひびく子どもの嬌声
路駐の車の迷路に挟まれそうになって
ふたりして頭を ひょこ と上げ ほほ笑み合う
空いているベンチが見つからないまま
ふたりは歩いた
チャボの差し出した右手に
さりげなくスミレが寄り添う
スミレがチャボのオンボロアパートに越してきて
挨拶がわりに 切らした醤油を借りにきた
お礼といってはなんですが 豚汁の差
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