融形・疑裂/木立 悟
 


湿り気のなかに詩(うた)があり
半身の失(な)い私を召(よ)んでいる


咬合(こうごう)の色
強制情動
朝は汚い
震えは止まない
声は止まない


動きの向こうに私があり
目を持つすべての水滴のように
中心へと螺旋を描いて落ちてゆく
あやかしとひかりと半身が
名前も知らない人魚の病が
耳の失いけものを召んでいる


静止した太陽
おまえの助走
春の死がいを
越えるための










  グループ"1986年の詩"
   Point(4)