笑顔のままに/ajisai
 
村も小さくなってきた頃
女性の瞳からほろほろと涙が流れ出てきた
「いやね、あの子達でさえ泣くのを
 我慢していたのに、今頃になって」
死神は女性をぎゅっと抱きしめた
「あなたの子達が羨ましいです
 毎日笑顔に優しく包まれて
 幸せだったことでしょう」
それを聞いて枷が外れたように
女性の瞳から涙が溢れ出た
死神をわが子のようにぎゅっと抱きしめ
十年分かと思われるほどの涙を流した

涙が止まると女性はまた笑顔に戻り
死神の頭を優しく撫でた
「ごめんなさいね、急に泣き出しちゃって
 ありがとう、あなたはとっても優しい子ね
 さあ、行きましょうか
 連れて行ってくださ
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