地獄行きの男/ajisai
必死に助けを呼ぼうとするが
声がかすれて大声を出せない
そこへいつかの黒猫がやって来た
「お前でもいい、助けてくれ」
かすれた声で猫に命乞いをした
黒猫は月の様な冷たい目で男を見つめ
ぐっと背筋を伸ばし尻尾をぴんと反らした
その背からは黒い翼が生え
徐々に黒髪に黒装束の少年へと変化した
少年は死神、死の使いだった
男は恐怖のあまり声も出ず
ただ少年を見つめ返すばかりだった
「さあ、行こうか。」
少年は無造作に男の手を握ると
魂を体から引き剥がした
男は死神に連れられて夜空へと舞った
「助けてくれ、連れて行かないでくれ」
「俺は死にたくなんかない」
男は次
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