一人ぼっちじゃない/ajisai
生きなさいって
お父さん、お母さんの愛した子なんだから
望まれて生まれてきたんだから
一人でも元気に生きてほしいって
いつも空の上から見守っているからって
月夜に君がこちらを見ているのを
楽しみにしているそうだよ
随分大きくなったねって
抱きしめてあげられないのは残念だけど
代わりに」
少年は僕をぎゅっと抱きしめた
「坊やを抱きしめて来て欲しいって」
僕はふわりとしたまるで
両親に抱きしめられているかのような
温かい気分になった
「今まで一人で頑張って偉かったね」
少年のその言葉で僕は張りつめていた何かが
ぷつんと切れたみたいに涙がとめどなく溢れ出た
「お父さーん、お母さーん」
夜空に向かって僕は泣き叫んだ
「僕はここだよー、いつも見ててね」
僕は憧れの両親の胸の中で
たくさんの気持ちを貰った
温かくて切なくて優しくて寂しくて・・・
でもとってもとっても温かい気持ち
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