萩尾望都私論その1 まえあがき/佐々宝砂
詩評を書く。書いてきた。詩評はきらいじゃない。好きだ。でも。
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しばらく前から、詩じゃなくて、小説を書きたいと思っている。数年書いてないので、書けるかどうか自信がないのだけれど。シオドア・スタージョンみたいなの書きたいな、愛の作家と呼ばれ、でもSF作家でしかなかったスタージョン。彼が書こうとしたのは、「われなべにとじぶた」式の、ひとりでは立てない半端者同士が組んでできあがる超人だった。また、「つくるもの」と「つくられるもの」の、宿命的な出逢い(創造)と別離(つくられるものの自立や破棄)だった。このテーマを普通小説で書くのはむずかしい。SFならたやすい。
スタージョンが『人間
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